無機材料化学研究室
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研究室メンバー(平成24年4月現在)
米沢 晋 教授,金 在虎 講師 | |
博士後期課程6名,博士前期課程10名,学部4年生9名 |
研究内容
本研究室では、無機材料のうちセラミックス及び含フッ素材料について電気化学デバイスへの応用を中心として研究いています。- リチウム二次電池正極活物質の表面フッ素化改質に関する研究
- 希土類含有酸化フッ化物ガラスの合成に関する研究
- 表面フッ素化による光触媒の分散性と触媒活性向上に関する研究
- ナノめっき技術を用いた新規燃料電池用電極の作製に関する研究
- ナノめっき技術を用いた新規炭素繊維強化材料の作製に関する研究
- 電解複合メッキによるニッケル水素電池材料の開発
リチウム二次電池正極活物質の表面フッ素化改質に関する研究
リチウム含有金属複合酸化物(LiMn2O4など)について電気化学反応場である表面にフッ素を導入し、充放電プロセスの高ポテンシャル化、円滑化を目指しています。図のように表面に電気陰性度が高いフッ素を導入することで、Li+イオンの挿入・脱離のスムーズ化と遷移金属の高酸化状態の安定化などにより、電気化学的特性や熱化学的特性が向上することを見出しています。現在はこれらのノウハウや経験などを実際に18650セル作製や蓄電池などに応用する研究をしています。
【参考文献】「Surface fluorination of the cathode active materials for lithium secondary battery」Journal of Fluorine Chemistry, Vol.125(11), 1657-1661 (2004)
希土類含有酸化フッ化物ガラスの合成に関する研究
希土類を高濃度に含むガラスでしかもアニオンがハイブリッドになっているものが合成できることを見出してきました。図のように、磁性や蛍光特性などユニークな性質をもつ新規 ガラスなので基礎データ収集、デバイス応用の可能性を含めて総合的に研究しています。特に最近では、ガラスの組成と蛍光寿命との関係について、様々な条件(カチオン種、イオン半径など)下で研究を進めています。
【参考文献1】「Synthesis and properties of neodymium containing oxide fluoride glasses」Journal of Fluorine Chemistry, Vol.112(2), 241-246 (2001)
【参考文献2】「Preparation and optical properties of CeF3-containing oxide fluoride glasses」Journal of Fluorine Chemistry, Vol.129(11), 1114-1118 (2008)
表面フッ素化による光触媒の分散性と触媒活性の向上に関する研究
アナターゼ型酸化チタン(TiO2)は、高い光触媒活性を持っており、現在、空気・水の浄化や、色素増感太陽電池材料として注目されています。TiO2粒子表面にフッ素を導入することで、表面改質を行い分散性の向上や光触媒活性の向上ができます。図のようにフッ素化されたTiO2粒子と過酸化 水素を反応させることで、新規Ti含有水溶液の合成が可能となりました。またフッ素化条件や焼成条件により、可視光応答型TiO2粒子も作製できました。現在はこれらの新規材料を活かした誘電体や太陽電池などに関する研究をしています。
【参考文献】「Improved dispersion stability of surface-fluorinated TiO2 particles」Chemistry Letters, Vol.40(3), 230-232 (2011)
ナノめっき技術を用いた新規燃料電池用電極作製に関する研究
絶縁体であるPTFE粒子上へのNiめっき(Ni-PTFE)を行うことによりPTFEに導電性が付与でき、PTFEの成形性を活かして図のようなNi-PTFE成形体の作製が可能になりました。加圧成形工程中に、溝付金属板を用いることで成形体に直接反応ガス流路を加工できることから、既存のカーボンセパレータに関わるガス流路加工費の節減が期待できるセパレータとガス拡散層が一体化された新規燃料電池用電極材料の作製に関する研究をしています。
【参考文献】「Preparation and characterization of C/Ni-PTFE electrode using Ni-PTFE composite plating for alkaline fuel cells」Int. J. Hydrogen Energy, Vol.36, 1720-1729 (2011)
ナノめっき技術を用いた新規炭素繊維強化材料の作製に関する研究
炭素繊維強化金属(CFRM)は、軽量で高強度の可能性を秘めた新規複合材料として期待されています。金属の中で比重が小さく軽量化に適すること、また加工性、耐食性、熱伝導性に優れることから注目されており、自動車の車体や高温度に曝される部材等の幅広い分野で応用が期待されています。本研究室では、母材金属(Al或はMg)との親和性を高めるために炭素繊維表面にナノめっき技術を用いてNiとCuの二層めっき(図)形成、粉末冶金法を用いて成形体を作製することで、高強度な炭素繊維強化金属の作製に関する研究をしています。
【参考文献】「Enhanced mechanical strength of nickel-copper-coated carbon fiber/magnesium alloy composites fabricated using powder metallurgy」Chemistry Letters, Vol.41 (5), 531-532 (2012)
研究室の特色
- 本研究室では様々な分析装置(XPS, AES, FE-SEM, ICPなど)を運用管理しておりまして、装置から学べる知識や経験などは実際に就職先の企業や社会でも活かすことができます。
- 産学官による様々な研究開発プロジェクトへの学生自身の参加により、学生さんの自立性に対して非常に有効な経験ができます。