福井大学工学部材料開発工学科

高分子加工学研究室

研究室メンバー(平成25年4月現在)

教職員 田上秀一 教授,植松英之 講師,家元良幸 シニアフェロー,PHUNG Thi Viet Bac特命助教
学生・研究生 博士後期課程5名,博士前期課程10名,学部4年生8名

研究内容

ポリマー/フィラー系複合材料の溶融混練とその成形加工

モノフィラメント  工業的に有利な溶融混練によるプラスチック材料の高機能化を実現させることを主目的として,様々なフィラーを用いた複合体の溶融混練について,主としてプロセスの側面から研究を実施しています。また,得られた複合体の成形加工への応用展開にも視点をあてて,研究を遂行しています。右図は,当研究室で作製したポリプロピレン/気相成長炭素繊維(VGCF)系複合体モノフィラメント(VGCF含有量2wt%,延伸比9)です。
 現在では,マトリックスにポリカーボネートなどのエンジニアリングプラスチックを用いたり,フィラーに窒化ホウ素などを用いて,主として熱伝導性の高い高分子材料の溶融混練およびその成形加工性について,研究を行っています。
 また,多成分系材料にシリカなどのフィラーを混合させると,あるポリマーへ選択的にフィラーが入ること(局在化と呼んでいます)があります。我々の研究室では,ポリスチレン/ポリメチルメタアクリレートへシリカ粒子を混合させる系について,シリカ粒子の局在化のメカニズムや制御について追求しています。

高分子成形加工プロセスの解析

押出物  高分子成形加工における高分子流体の熱・流動について粘弾性を考慮した計算機シミュレーションを実施しており,計算機によるプロセス設計支援,各種諸現象の解明を目指し,研究を遂行しています。現在では,フィルム成形,紡糸,異型押出成形などの押出成形をターゲットにしています。右図は,ロの字型断面を有するダイから押し出された押出物形状の計算結果例です。押出物先端でダイ出口における平均流速と同じ速度で引き取る操作を表現しました。押出物全体の形状,製品設計に重要な引き取り部における断面形状が三次元的に捉えられていることがわかります。
 近年,有能なソフトウェアが数多く開発・市販されていますが,それを使いこなすには粘弾性流動解析の基礎知識が必要不可欠であり,実際の成形加工をターゲットとして粘弾性流動計算を本格的に実施している我々の研究内容に対する産業界の要求度は高いです。

流体力学に基づく繊維工業用流体機械の改良と開発

サクションガン  繊維工業における流体機械として,実験と数値シミュレーションの両面から流体力学的観点に基づく理論的な考察による体系化,およびそれを背景としたプロセスの省エネルギ化・高性能化を目指し,研究を実施しています。右図は,エアサクションガン内を通過する糸の様子です。繊維工業では,様々な流体機械があり,今後,様々な流体機械について検討を行うことにしています。

レオロジーと材料設計に関する研究

ダイスウェル  高分子材料は流して形にするプロセスを経て製品化されるため,成形加工性の制御には材料の流動制御が必要となります。成形プロセスに必要な流動特性を考え,流動を制御するための最適な材料設計に関してレオロジー的観点から検討しています。特に大変形下での変形における流動特性を中心に研究しています。
 また,実機に近いラボレベルでの押出成形装置を用いて,材料の流動特性と成形加工性や流動不安定に関する研究についても研究しています。右図は,ポリエチレンとポリエチレン/気相成長炭素繊維系複合材料の見かけのせん断速度と見かけのせん断応力との関係を示した図で,図中の写真は各せん断速度における押出物の写真を示します。また,色付きのプロットは不安定流動が起きていることを示しています。ポリエチレンに気相成長炭素繊維を混ぜると,不安定流動の発生の様子が異なることがわかります。

自己組織化による構造制御に関する研究

 材料の会合体,繊維化(フィブリル化)を利用した構造制御に関する研究を行っています。高分子マトリクス中で第2成分による会合構造やフィブリル構造を制御することによってフィルターなどの付加価値の高いものづくりに取り組んでいます。また,添加剤の構造形成による材料の流動特性の制御に関して同時に検討しています。

研究室の特徴

 我々の研究室は「ものづくりの研究室」です。研究室の特色や強みは以下が挙げられます。
  1. 材料設計から加工までの一連の流れを研究しています。
  2. 実生産に近い環境で“ものづくり”を行っています。
  3. 実験的アプローチとシミュレーションからの捉え方による現象の解明を試みています。
  4. 実際の原料メーカー・加工メーカーと同じ目線で研究に取組んでいます。


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